文人悪食/嵐山光三郎
以前「文人暴食」について書きましたが、こっちの方が先に発売されていたようです。
なので、こっちの方が名の知れた人が多いので、より読みやすいかと思います。
で、前回同様メモ程度に各人の感想を書き連ねてみようかと思います。
☆夏目漱石
夏目漱石といえばロンドン留学中食事が合わず体を壊したとよく言われているけれども、実はそうでもないみたいで、帰国してからも洋食を好んで食べていたらしいです。
人騒がせだな。
☆森鴎外
以前「トリビア」でも取り上げられていた饅頭茶漬けの話が載っています。
もしかしたらこの本を読んだ人がトリビアに投稿したのかもしれませんね。
まぁ、勝手な思惑ですが。
ご飯の上にアンコ入りの饅頭を割ってのせ、煎茶をかけて食べるというなんとも謎な食べ物「饅頭茶漬け」が鴎外の好物だったそうです。
美味しいんでしょうかね?
ちょっと試す気がしません。
☆幸田露伴
かなりの健啖家で不味いものは決して口にしなかった。
現在のファーストフードの必要性を予見させる書も残している。
しかし、外来の食べ物は好まなかった。
☆正岡子規
後述する石川啄木同様傲慢で嫌なヤツ。
勝手に漱石宅に上がりこんで鰻を注文して金は漱石に払わせるというのだから、なんともはや(^_^;)
☆島崎藤村
粗食淫乱の人。
父は近親相姦、母に姦通、ついには40歳の時に19歳の姪を妊娠させてしまう。
姪との肉体関係は長く続くが、やがて藤村の結婚により破綻。
しかし、その後も姪は自身が正妻と信じ続けやがて精神に異常をきたしてしまう。
☆樋口一葉
「にごりえ」に登場する人気者のお力という女性は一葉が自分自身を重ねているそうで・・・。
多分この人そうとう「イタイ」人だと思う。
なんで5千円札は一葉なんだろう。
幸薄そうな顔つきだし、性格もなんだか勘違いチャンだし・・・。
☆泉鏡花
超のつくばい菌恐怖症で、畳でおじぎをするときは、手の甲をたたみの面に向け、手の甲を浮かせて頭を下げていた。
大根おろしは煮て食べ、木村屋のパンも好物であったが表も裏もあぶって食べ、指でつまんでいた部分は捨てていたという。
お前みたいなやつは何も食うな、と言いたい。
☆有島武郎
そりゃかなりの美形だったらしいですよ、奥さん。って、奥さんて誰よ?
頭はいいし、お金持ちだし、何の申し分もない人なんだけど亡き妻との子3人残して情死しちゃうんだよね~。
あまりにもいい人すぎたんでしょうな~。
因みに与謝野晶子も旦那に隠れてコソコソモーションかけてたらしいですよ。
今時モーションかけるなんて言いませんか。
☆与謝野晶子
小さい頃大好きだったんだよなぁ、与謝野晶子。
与謝野鉄幹というしょうもない旦那を抱えて、12人の子を産み、なおかく多数の句を世に送り出す。
そのたくましさが好きだった。
鉄幹はずっとただのしょうもない男だと思っていたんだけど、実はあれで結構女扱いのうまい男だそうで、晶子は鉄幹との愛を失いたくないばかりに妊娠しまくっていたフシがあるらしいです。
与謝野晶子はお嬢様育ちなのですが、鉄幹は僧侶の息子。
贅沢な実家暮らしから一転して鉄幹の一汁一菜に付き合わされるハメに。
そりゃあ鉄幹はいいですよ、どうせのらりくらり生きてるんですから。
晶子は子育て、仕事、書生の世話と大忙しですから一汁一菜ではさぞ辛かったことでしょう。
☆永井荷風
お金持ちの家に育ったが故に、食べ物のことを書くことは低俗的だと言いつつ、やはり健啖家。
パリに放蕩中贅の限りをつくさんとばかりに食べまくっていた。
女と別れる時は弁護士を通して手切れ金を支払うのが彼の流儀で、常に手切れ金の事を気にしていた。
そんなことだから最終的には7畳ほどのボロ屋で孤独に最期を迎えるんだよね。
☆斎藤茂吉
斎藤茂吉は婿養子で、妻のてる子はわがまま育ちで殆ど料理ができない。
てる子の煮た大根や人参は生煮えで、カルシウム不足解消のため卵の殻を粉砕機でひいて粉にして食べさせたという。
また茂吉は日本を代表する精神科医でもあるのだが、外来診察日には、ニンニク、タマネギ、タクアン、大根おろしは食べなかったんだって。
つまり「お口の匂いが気になる」って事ね。
細かいことにまで気を配る人なのだ。
☆種田山頭火
俳人であり行乞僧であった山頭火。
さぞ浮世離れした方なのかと思いきや大食いの大酒のみで、生前は「人にものを乞う俺が一番偉いんだ」なんて事も言っていたというのだから、もはやわけがわからない。
完全にイメージがくずれてしまった(T_T)
☆志賀直哉
毎朝フォアグラとキャビアをパンにのせて食べていた、かなりの健啖家。
料理も上手だったそうです。
☆高村光太郎
空腹恐怖症で、腹がすくと集中力がなくなり何も手に付かなくなるらしい。
私と一緒ね。
粗食を忌み嫌い「肉食と牛乳をすすめ、食生活を改善して三代かかれば日本人の体型は世界水準に達する」という持論を持っていたらしい。
確かに今の子ども達って手足長いもんな~。
☆北原白秋
隣家の人妻と恋に落ち、その夫に姦通罪で訴えられて入獄、その女と結婚するも長くは続かず離婚。
元々はいいところのぼっちゃんなのだが、示談金を支払わなければならなかったため極貧の生活を強いられることに。
二番目の妻は晩年食魔と化し糞尿にまみれて瀕死。
☆石川啄木
小学生の頃啄木の人生の話を読んで「なんてひどい人なんだ」と幼心に思ったけれど、今回ますますその思いが深まった。
本当にこの人はなんて人なんだ(^_^;)
わがままちゃんにもほどがある!!
友人という友人に金を借り、それを返そうともせず吉原通い。
食うもの、飲むもの全て人におごらせる。
それも上等のものでなければ嫌。
それでもみんなに愛される啄木って、凄い。
☆谷崎潤一郎
女性にも料理にもめがなかったんだけど、特に女性の手と足がお好きだったそうです。
谷崎潤一郎にそんな事言われてもね・・・要するにでぶなエロジジィだったってことですかね。
☆萩原朔太郎
過保護な両親の元育った生活不能者。
洋食(当時からすると贅沢な食事ですね)が好きで、大酒のみ。
しつけが行き届いていないもんだから、大人になっても食事のマナーが身につかず新聞紙の上に座り、前掛けを掛けて食事をすることもあったとか。
sakちゃんの印象まるくずれなんですけど・・・。
☆菊池寛
おごり上手。
大食漢であったが、食べると吐くを繰り返した。
胃をすっきりさせるためで、その方が体にもいいという持論なのだが、いいわきゃないだろ。
☆岡本かの子
岡本太郎のお母さんですね。
文章の出だしからしで「岡本かの子は嫌われ者だった。」っていうのが凄いんだけど、
更に続く文章も凄い。
「かの子ほど同業者や仲間うちから嫌われた女性も珍しく、世間は、薄気味が悪い女占い師を見るような目でかの子を見ていた。ヘラで削り落としたくなるほどの白粉の厚化粧、脂肪でふくらんだブヨブヨの贅肉、首がないから蛙顔が身体にくいこんでおり、極東手品団女団長のようなギンギラの衣装をつけ、十本の指に八本の指輪をつける悪趣味はおぞましい異物として世間の目に映った。その容貌怪異にくわえて、性格の無知傲慢さからくる自己愛とわがままなふるまい、無反省ぶりが世の顰蹙を買ったのである。」
・・・、どんな女やねん・・・(^^;
でも、ブス専というのは必ずいるもので、旦那と子ども(太郎)と不倫相手の学生と暮らしていたこともあったんだから、励みになるというか、何というか・・・。
☆内田百閒
何不自由なく育ち、貧乏に憧れを持ち、借金をゲームに興じるかのように繰り返す。
缶詰好きのおせち嫌い。
☆芥川龍之介
「羊羹と書くと何だか羊羹に毛が生えている気がしてならぬ」と羊羹を嫌った。
龍之介も貧乏に憧れを持っていたフシがあるらしい。
☆江戸川乱歩
ほんのしばらくの間ではあるが、支那ソバ屋として屋台をひいていたこともあるらしい。
それなのに味音痴だと謙遜するあたりが乱歩の人の良さが出ているのではないでしょうか。
☆宮沢賢治
この本を読んで一番ショックを受けたのが宮沢賢治ですよ。
「雨ニモ負ケズ」なんていっときながら、たまに上京した時などはステーキなどを食す等贅沢ざんまいだったらしいじゃないですか!!
あ~、そりゃないですよ(T_T)
しかも妹と近親愛的関係で、それがもとで妹は死に追いやられたとか。
宮沢賢治自身もそんな事実はないと言っているし、宮沢賢治研究者達の間ではこの話はご法度なのだとか。
でも怪し~。
☆川端康成
幼少の頃に孤児となり親戚中をたらい回しにされた過去を持つ。
それゆえにか食が極端に細く、酒も飲まなかった。
☆梶井基次郎
肺結核で31歳で早世。
これでかっこよければ美人薄命となるわけなんだが、どうしようもなくゴリラ顔なんだなぁ。
病弱なくせに健啖家で酒癖が悪く、料理屋の盃洗で自分の男根を洗って見せたりしたことがあるそうですよ。
最悪ですね。
しかも無名時代に宇野千代さんに本気で惚れ込んでしまい猛烈なアタックをしていたらしいが、宇野千代さんには「私、面食いですから」と一蹴された。
☆小林秀雄
白洲正子が師と仰いだ人物なので、もちろん高級好き。
そんな秀雄だが西行の随筆に関していえば白洲正子に軍配があがるらしい。
秀雄の西行に関する随筆には誤りが多数目立つのだとか。
まっ、白州さんはただの金持ちではなく、真の金持ちですから、いくら師と仰ぐような人物であったとしても容易に追い越すことはできないということなのではないでしょうか。
☆山本周五郎
お上が嫌いで、園遊会には参加しない。文学賞と名がつくものはことごとく断った。
大手名門出版社よりも、名のない小出版社を選んだ。
規則正しい毎日を送り、起床は朝三時、就寝は夜八時と決め、仕事場では自炊独居の生活を送っていた。
それなのにアドルムというクスリの乗用者であった。
☆林芙美子
極貧時代の自伝的作品「放浪記」でデビュー、一気に売れっ子女流作家となるも外国かぶれで贅沢な生活、派手な風貌から同業者からは嫌われていたという。
☆堀辰雄
「風たちぬ」の作者です。
フランス的なものを好むのは、下町生まれで、よく父母が言い争いをしていた過去への復讐のようでもある。
☆坂口安吾
山本周五郎同様睡眠薬のアドルム常用者。
諸問題を抱え被害妄想になっていた安吾は、壇一雄宅でやっかいになっていた頃、カレーライスを100人前頼むという奇行に走る。
縁側にずらりと並ぶライスカレーを壇はただもくもくと食べ続けたという。
人ん家にお邪魔している身分でライスカレー100人前頼むのもどうかと思うけど、それを持ってくるほうもどうかと思う。
☆中原中也
酒癖が悪く同業者を見るや否や喧嘩をふっかけるが、何しろ腕っ節が弱く、いつも負けていた。
時には女にも手を上げたというから、なんかがっかり。
☆太宰治
生まれ故郷の津軽に反発しつつも執着していた。
都会的なものに憧れてはいたものの、料理は津軽料理を好んだ。
新し物好きで味の素を好んだ。
心中した富栄が前日に鰻の肝を大量購入していることから、死の前日にはそれを食したのではないかと考えられる。
しかし、明日には死ぬぞって人間が勢力つけなくてもネェ・・・。
☆壇一雄
いつか壇さんの料理本も読んでみたいと思うのだけど。
壇さんが料理に目覚めるのには実は幼い頃に母親が家出をしてしまい、下の兄弟達のために料理を作り始めると、性に合っていたのかはまってしまったという過去があった。
☆池波正太郎
池波正太郎とはちょっとした縁がある。
彼が愛したまつや、竹むら、松栄亭、神田万惣は以前私が勤めていた会社と目と鼻の先なのだ。
私はどこも一回ずつくらいしか行った事ないけど(>_<)
でも今でもあの辺りは秋葉原に行った時とかついつい足が向いちゃう。
だんだん昔の風情がなくなってきているのが寂しいけれど。
☆三島由紀夫
これを読むまで知らなかったんだけど、三島由紀夫って身長158センチなんだって。
なぁんか、ショック~。
多分ちいさいんだろうなぁ、とは思っていたけれど、思っていた以上に小さい・・・。
三島の母は料理上手だったんだけど、それがかえって三島を拒食症的な状態に陥らせ、「食とは卑しいもの」という考えを持ちつつも、最終的にはステーキなどせいのつくものを食べて身体作りに勤しんでいた。
海外に出かけたときなどは公園にうろついているような17歳前後の少年を、昼前からホテルの部屋に連れてきていたんだって。
大胆というか、羨ましいというか・・・(@_@;)
by tabalog
| 2006-05-24 17:33
| 本
似てる有名人はガチャピンです
by tabalog
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